補足と交通整理
先日、業務で会議の手話通訳を行いました。今月は珍しく手話の業務が3つも入っておりまして、その2つめでございます。詳しい内容はもちろん書きませんが、ろう者の皆さんと聞こえる人たちが集まって、現状などを話し合うというか、聞き取るというもの。
ですので、どちらかというとろう者の読み取りが多い場面だったのですが、久しぶりというのとその人たちの背景を知り切れていない部分もあって、表現していることは読めるのですが、上手く伝えるためには補足が必要だったりすることが多かったんですね。つまり言語的には言っていることは声にできているのですが、言いたいことが伝えられているか、ということ。
パートナーさんが付き合いが長い職員さんだったので細くしてくださったのですが、どこまで通訳者が補足をするのか、というのは難しいなぁと思いました。あまり言うとおせっかいになりますし、ただ言っていることを出すだけではろう者の福祉というか、想いが伝わらないかもしれないし…その辺のバランス感覚が問われる場面です。
しかもタダの通訳ではなく、こちらは職員としてきているので、上手いこと会議が進むように協力しなければいけないわけです。あとはろう者が「私も私も」と同時に話し出すときにどう交通整理するか、ということは大事だなぁと改めて思うわけです。3人の通訳者で望みましたが、対象のろう者は6人。で読み取っている時に別の人の手が動くことに気が付きます。そんな時に「○○さんもそうそう、と言っています」と挟んだりしていたのですが、同じ声でそれをやるとややこしいのではないか、とか考えつつ、聞こえる側に見てもらおう、と読み取りながら指さしで「見てね~うなづいているよ~」という作戦もとってみました。
会議は穏やかに終わったのですが、なかなか自分の中で考えさせられることがたくさんあったなぁと思うのです。綺麗な日本語にしきれなかったという面もそうですが、参加者の不満無く交通整理ができ、言いたいこととしてどこまで補足をするのか…一人一人のろう者の生活を全て知っているわけではないので、一場面での通訳でできることは限られますが、それでもやらなきゃいけないときとやっちゃいけないときがあるでしょうから、ニーズに応じて臨機応変に、ということでしょうか。
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