ゴーアラウンドの手話
私は遭遇したことがありませんが、飛行機に良く乗られる方なら一度くらいは遭遇したことがあるかも知れません。「ゴーアラウンド」。これは飛行機が空港に着陸しようとするのですが、天候などの関係により着陸を断念し、また上空へ戻っていく、という一連の動きを示した言葉です。日本語では「着陸復行」と呼ばれています。
機長さんにとっては珍しいことでもさほど難しいことでも無いそうなのですが、乗客にとっては結構怖い思いをしそうな感じかもしれません。だって着陸できると思ったら急にグインと上がって離陸するんでしょ?着陸と離陸が特に苦手なウメに取っては最悪のパターンです。
で、ふとこれを手話で表現するとしたら、というのを今朝思いつきました。「ゴーアラウンド」という言葉(指文字)でわかるのであればさほど問題ないですが、それを知らない場合、「着陸しようとしたが天候の関係で着陸できずに一旦上昇する」という一連の動きについて、どういう説明がされるのかにもよりますが、手話にすると比較的わかりやすい表現になるかな、と。
例えば右手を飛行機にして、着陸までの様子を表現したが(例えば)風が強いので着陸をあきらめて上昇する…これはどちらかといえば空間的表現を多用した例で、当事者でない人が使用するパターンが多いでしょう。機長の立場でいえば、自分が操縦桿を握って外の様子を確認しながら降下していくけど(管制官か自分かの)判断により上昇していく、というのを機長の様子をロールシフトで表現するのが適切でしょう。乗客(フライトアテンダント)は自分たちが乗っている飛行機のことですから、客観的に説明するには空間的表現の手話でも良いですが、やはりそこはうまいこと空間的やらロールシフトやらを使い分ける表現が一番わかりやすいですよね。もっともそこまでできるフライトアテンダントはいないでしょうけど。
これに遭遇したろう者の話を聞くのが一番良さそうですよね。ただ、どういう状態で「ゴーアラウンド」になったか、の情報が不足している(ここも機内放送だけの弊害)かもしれません。
今回は飛行機の事例でお話ししましたが、手話表現をするとき、もしくは手話通訳をするときは日本語通りでは無く、上記の表現を上手く使うとろう者にもわかりやすいし、表現する方も意外と単語が少なくて済むんですね。WIN-WINです。何でもかんでも日本語通り(が必要な場合もありますが)に縛られない、手話を勉強する人、手話通訳は頭に入れておかないといけませんね。
その代わり、ろう者の手話を正しく日本語にすることも常に頭に入れておかなければいけない。日本語から離れたり近づいたり、なかなか頭を使います。それがおもしろさでもあるのですが。
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