手話通訳者から見た要約筆記(者)(下)
雑感なので話があっちゃこっちゃいきます。最近はパソコン要約筆記者が増えていますが、「タイピングが速い」からといってすぐに要約筆記ができる、という誤解や、そういうレベルで養成している残念なところが多く見うけられます。「タイピングが速い」のと「要約筆記ができる」というのは(全くとは言いませんが)別だと思います。そもそも聞こえたものをうまく整理して、チームで連携して、即座に正しい日本語の文字で出す、というのはかなりの技術がいることです。ウメもそこそこタイピングは速いほうですが、ウメがいくらやったとしても、表面上はうまくできているかもしれないけど、それは「要約筆記もどき」でしかない、と。
どんな知識や技術が必要か、もちろん手話通訳と共通することが多い面もあるかと思いますが、いわゆる中途失聴・難聴者について知らなければいけなかったり、文字を扱うことの知識も重要です。最近では「全国要約筆記者認定統一試験」が始まったり、要約筆記者養成の新しいカリキュラムがスタートしている(今度から?)と聞いています。このカリキュラムの内容がとっても良いそうです。すいません、伝聞推定で。今の時代に合わせて作り、新しい分しっかりと学べるようになっているそうな。その点手話通訳者は、何というか、「個」に任せられて(しまって)いる部分が多い、というか、手話は手話で特性がいろいろありますので、何が良い、とは言えないところですね。
要約筆記者さんの話。いっつも思うのですが、とっても勉強されているな、と。予習がすごい。事前資料をきっちり読み込んでいて、わからないところはちゃんと調べていらっしゃいます(ま、そうでない方もまぁいるのですが、全体的な印象ということで)。ここは正直、手話通訳者よりは上手だと、個人的に思います。たぶん、最終的に皆が分かる日本語の文章に、しかも視覚的に残るので、シビアなものが求められるのでしょう。手話通訳がそうではないとは決して言いませんが、そこの辺、(自分も含めて)手話通訳者は甘えてしまっている(言語が違うのでまたそこは一概にいえない部分もあると思いますが)ところがあるのではないか、と。
そして、(仲の良し悪しはともかく)連係プレーがとても大事なんだな、と。ウメが見るのはだいたい講演会や大きな大会、パソコン要約筆記の場面が多いのですが、あの連携も技術のうちなんだと思います。誰が打つとか、修正するとか…。そういう意味では手話通訳者の連携力って低いなぁ~と。年齢差や経験差があったりするとやりにくくなっちゃいますし、そもそもフォローしようとしないとか、なんだろう、やっぱり「個人」なのか…と。実際手話通訳をやっている(読み取ったり表現したりする)のは1名なのと、複数人で連携して文章にしている違いなのか、とも思ったりします。
個人的に時間があれば、要約筆記者がどうやって養成されるのか、身をもって体験…というか、手話通訳もできて要約筆記もできて(んでもって英語もできて)…なんて夢をもっていたりしますが、兼ねている方をあまり見かけないのから思うに、「似て非なるもの」なのかな、と。どちらも大事だし、どちらのニーズもある、どちらも専門的技術が必要だな、と。絶対ニーズとしては要約筆記(字幕)の方が多いですし、これからもっと発展していく事業だと思っています。
手話通訳者と違って声や顔が出てこず、(良い意味でも悪い意味でも)個性がない、のかもしれませんが、表出されるその「文字」の裏にに、多くの知識や技術、苦労があるんだな…と外野から見ていて思うのであります。どうでしょうか。間違っていたらごめんなさいm(_ _)m 今後ともご一緒する機会があると思います。要約筆記に携わる皆さま、今後ともよろしくお願いします。
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