見えなかった「東日本大震災を思い出してください!」
先週金曜日、12月7日に宮城県沖でマグニチュード7.3の地震がありました。東北地方から関東・北海道にかけて広い範囲で揺れたそうですね。聞くところによると大きな揺れで長かったそうな。先の東日本大震災の記憶がよみがえった方も多いのでは亡いでしょうか。
さて、その際のNHKの緊急番組。始まって30分ほどは字幕放送がありませんでした。いつものこと…と思ってしまうところが悲しいところなのですが、そんな超ハイテクな機械を用意しなければいけないわけでもなし、緊急のために人員をどこかと契約するなり何なりしてすぐ出来そうなもんなんですが、何がどうしてそんなに字幕を出したがらないんでしょうか(もうこう思ってしまいます)。
今回、NHKのアナウンサーさんは津波警報が出ていた時、今までとは違った強い口調で話していました。これは先の震災の際の教訓を生かして危機感を持ってもらうためなんだそう。実際に運用されたのはこのときがはじめてでした。
「津波警報が宮城県に出ています!」
「あと10分ほどです!」
「東日本大震災を思い出してください!」
「可能な限り高いところに逃げてください!」
「命を守るために急いで逃げてください!」
ウメも少しですが聞いていました。確かに結構強い口調で繰り返し言っておられました。画面には赤色の目立つテロップで「津波!避難!」と表示されていました。
しかし、上記の言葉は結局「見える」ことはありませんでした。今回は大きな被害が無かったからよかったものの、「津波!避難!」だけで視覚的に、聞こえない人に危機感を訴えることはできたのでしょうか。字幕放送ができなかったとしても、上記の文を代わる代わるテロップ表示などできなかったのでしょうか。
テレビが地デジに完全移行して1年以上が経ちます。最近は余計な番組情報がデータ放送で流れてきてテレビの隅に表示されることも増えてきました。が、こんなとき、アナウンサーが話している言葉は視覚的に表示されませんでした。もちろん、手話でも。手話通訳がいたら、字面だけで無い危機感を(少なくとも文字だけよりは)伝えられることでしょう。そんなに逃げなきゃいけないのなら、ちゃんと見えるようにも伝えてください。
「字幕が無い!」苦情・要望を言うことは簡単です。とても大事なことです。でも、怒っているだけではダメ、それだけではなく、じゃあ一緒に何ができるか、どうやったら視覚化して伝わるか、どう協力していけるか、企業・行政・団体だけでなく、個人一人一人が持っている力で何とかしていきたいものです。
« 人権デーなのに | トップページ | 【手話428】期日前投票と不在者投票の違い »
「聴覚障害について」カテゴリの記事
- 全日本ろうあ連盟創立70周年記念映画『咲む』(2020.12.02)
- 電波のお知らせは電話だけでなく!(2020.10.02)
- パソコンにWebカメラとマイクがあれば音声認識ができるページに感動(2020.05.31)
- 3月3日は耳の日(2020.03.03)
コメント