/帰る/と/帰る/
久しぶりに手話の文法的な話をしてみます。
ちょっと前まで、日本語対応手話と日本手話の違いの例文で使われてた「私はタクシーで家に帰ります」。今回はどう違うかについては主題ではないので書きませんが、気になったのが/帰る/という単語。
手話では/帰る/という単語には向きが2つあって、自分の方に向かってくるものと自分から離れていく方。前者はどこか出先から定位置(自宅や職場)などに「戻ってくる」「戻ってきた」時、後者は定位置に「行く」時のことを指すかと思います。(「職場」から「自宅」に帰る時は、職場では後者、自宅(およびその周辺)では前者という表現を使いますよね)
これを日本語では同じ「帰る」ですが、手話の/帰る/は意味から考えたら同じとは言えないですね。むしろ英語の使い方に近い感じ。と書きながら今和英辞典を調べました(ATOK2011プレミアムのジーニアス和英辞典で。これほんとに便利)
come back
[自]〔…から/…へ〕帰る, 戻る〔from/to〕
come home
[自] 家に帰る, 本国に帰る
go back
[自] 帰る, (元の所・状態に)戻る
go home
[自] 家に帰る, 本国へ帰る
get back
[自] 〔…から/…へ〕戻る, 帰る〔from / to, into〕
get home
[自] 家に帰る, 本国に帰る
return
(自) 〔…から/元の場所・位置に〕戻る, 帰る〔from/to〕《◆堅い語》
あらーたくさんありますね。さらに注釈として
「元の場所に帰る」主体が話者・聞き手・三人称かにより, さらに聞き手のいる場所に向かうのか否かによって go, come を使い分ける
アタシャ英語わかりませんわ…。と投げ捨てるのでは記事にならないので、間違っているかもしれないウメ解釈で行くと、「go」の時は向こうに行く/帰る/、「come」の時はこっちにくる/帰る/の表現が合っているような感じ。ということは、/帰る/は英語の区分け方!?に近いのですかね。
(例が違ったらご容赦ください)同じ動きをする手話で/貸す/と/借りる/がありますが、これは日本語でも意味が違いますし、英語でもきっと違います。でも手話の動きの比較としては先ほどの/帰る/とさほど変わらないですよね。このあたりは「頭が日本語モード」になっているとなかなか???なポイントだと思います。
今挙げた例は単語であって、日本語や手話の言い回しや文章表現などこういう違いはたくさんあるかと思います。こういうのを体系的に学べるテキスト(本に限らず)やカリキュラムがあればいいんじゃないかなぁ…と。でも思いっきり通訳者向けですね。一般的にはちょっと小難しそうだから売れないか(売る前提)。
ここまで長ったらしく書いて、まとまらないのですが、単語1つとってもこういう違いがあるので、お互いの言語を学習、そして通訳するのは難しいなぁ!ということが言いたいのです!(笑)なんだこのざっくりとしたまとめ!
だから手話がどうなんだ!すごいんだ!日本語とは全く別の言語なんだ!などということはウメが言える立場ではないのですが、こうやって一つの単語の領域の違い(うまく言えませんが)を見てみるだけでも勉強になります。ひびしょうじん。
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