<少年D>~第一章(5)
すっかり原稿がこないので催促したらあっさり来ました。久しぶりの連載ウメダス小説です。
<少年D>~第一章「誕生と幼少期」(5)~
誰でも経験するだろう初恋は突然やってきました。
同級生にまみちゃんと言う女の子がいました。同学年のマドンナと言ってもおかしくないほど可愛い女の子でした。
聾学校幼稚部では、給食があり、皆で食べる給食が楽しみなD。給食では、皆で机を並べて食べるのですが、ある日、何故かDはまみちゃんの隣に座りたくて、自分の机をすばやく並べることを狙っていました。でも、それを狙うのはDだけでなく、かっちゃんやマートも狙っていたのです。
マート:「オレが一瞬早かったぞ!まみちゃんの隣はオレだろ?!」
D:「そんなわけない!まみちゃんの隣はボクだ!」
かっちゃん:「もういいよ。私はあそこに座るわ」
D:「マートはかっちゃんの隣でええやろ!」
マート:「分かったよ・・・」
D:「よっしゃ。まみちゃんの隣はボクだね」
大満足しながら、まみちゃんと机を並べながら給食を満喫するD。今、思えば、それがDの初恋だったのは言うまでもない。Dはまみちゃんと一緒に居れるだけで幸せと思ってたらしく、告白することもなく、手をつなぐこともなく、そのまま幼稚部の卒業を迎えました。
Dはこう思いました。(幼稚部では、はっきり言っていい思い出は無かったなぁ。でも小学校では作れるだろうなー)と。そんなDは、難聴児学級を併設した小学校へ進学することになっていたのでした。
~続く~
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