日本語の()表現
いつも使っている地下鉄駅構内での放送。
「発車間際の駆け込み乗車は大変危険です。事故防止に皆様のご協力をお願いいたします。」
要するに駆け込み乗車は事故の元になるからやめてね、という主旨だと思いますが、これをそっくりそのまま手話でやってもきっとろう者には通じにくいでしょうね。前の文と後ろの文の関連性がないように見受けられます。この文章の意味は・・・
「発車間際の駆け込み乗車は大変危険です(のでおやめ下さい。)事故防止に皆様のご協力をお願いいたします。」
日本語にはこういう()の部分がたくさんありますよね。あえて直接的な表現を避けるとか、遠回しに気づいてもらうとか。個人間のコミュニケーションでもありますし、お知らせなんかでもよくこんな表現がでてきます。
通訳者も聞こえるので、この日本語の隠れた()表現に慣れてしまっていて、通訳するときにそれを表出できないときもあるわけです。時と場合によっては手話で表出する必要は無いかも知れませんが、やはり手話で話す以上、()表現を使わないではっきり明示した方が伝わりやすいですね。
あと、数年前に書いたと思いますが、「ご協力をお願いします」の表現も、ただ/協力/お願いします/ではなく、文章によっては/了解/お願いします/の方が適切な場合が数多くありますよね。上の文章ではまだ意味は通じますが、「工事中は皆様のご協力をお願いします」を/協力/お願いします/でやってしまうと、工事を手伝えって事にもなりかねませんし・・・。
通訳=言葉を翻訳する・・・いやー難しいですねぇ・・・。()に慣れすぎるのもよくありませんが、あまりはっきりズバズバ言うのもKY~とか言われてしまう時代ですからね。どうすりゃいいんだっつーの。
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やはり必要ですか。その隠された()を表出する大事さ、通訳は理解する必要がありますね。遠まわしが全てダメ、ろう者は全部ストレート!、というとそれもまた語弊がありますけどね。
おっしゃる文は意訳だと思いますよ。
投稿: ウメ | 2008年9月22日 (月) 19時12分
()表現は必要でしょう!地下鉄のアナウンスのように、決まりきっている文の場合ならば、何をいわんとしているかが、わかれば、加えた方が、ろうあ者には伝わる。
遠まわしはろうあ者には?の表情が返ってくることが多いようですが。。。如何なものか?
捕捉・・・のような形式で()を補う。
・・・・「工事中は皆様のご協力をお願いします」は、「いろいろ危険、危ない?気をつけてください」通訳では、意訳?違訳?
投稿: めぐ | 2008年9月17日 (水) 18時10分