聴力回復実験
読売新聞のニュースで厚生労働省の研究班が様々な細胞に分化する幹細胞を難聴のラットの内耳に移植し、聴力回復に成功したというものがありました。記事では難聴やメニエール病の治療法の開発に道を開くとされています。
音を脳神経に伝える内耳には、音を電気信号に変えるのに必要な細胞(線維細胞)と信号をセンサーのように感知する細胞(有毛細胞)がある。難聴は、こうした細胞が何らかの原因で死んでしまって起こる。しかし、センサー役の有毛細胞に幹細胞を移植しても、聴力は回復しなかった。有毛細胞が生きていて、線維細胞だけが死んでいる難聴に着目。線維細胞を人工的に死滅させたラットの内耳に、骨髄から採取した幹細胞を移植し、聴力が回復するか試した。
実験の経過についてこう記されていました。そうすると幹細胞の生着したラットの聴力回復割合が高かったそうです。実験をした室長さんによると、音を感じる細胞や神経が生きていれば、幹細胞の移植で聴力が回復するかもしれない、と話しているそうです。
さて、ろう者の皆さんはどのようにお感じになりますか?もしかしたら、将来細胞移植手術を受けて聴力を回復させる、なんてことが始まるのかもしれません。
ウメは偉そうなことは言えませんが、この実験の根本の考え方は「失った聴力を回復させる」という聞こえる人の立場の医学に基づいたものですよね。もちろん、それが悪いことではないですし、それで喜ぶ人もたくさんいるのですが、そうではなく、ろうであることに誇りを持っている人がいることも、こういった人たちに知っていただければと思うのです。
「聞こえない」こと一つをとっても様々な考え方があることを・・・。
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私たちは回復=中途失聴というイメージですが、医学の世界では生まれつきでも聞こえる状態にすることを回復と言うような気がしますよ。
投稿: ウメ | 2007年7月 1日 (日) 17時33分
回復ってことは中失者対象じゃないかなぁ
産まれ付きのろう(難聴)は、元々失った訳じゃないから
回復には合わない気がした。。
投稿: koda大好き | 2007年6月29日 (金) 14時40分