2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

最近のコメント

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

« 世界禁煙デー | トップページ | 被告人質問の通訳 その2 »

2010年6月 1日 (火)

被告人質問の通訳 その1

5月31日、日本の調査捕鯨団に妨害行為をしたとして傷害罪などで起訴された、シー・シェパードの元船長の第三回公判、被告人質問がありました。ここで突然ですが、そのやりとりを掲載してみたいと思います。

なぜこれを選んだかというと、まずは通訳を挟んだ被告人質問であることです。今回はおそらく英語と日本語の通訳だと思います。(あまり起きてほしくないものではありますが)被告または原告がろう者の場合は、これと同じようなやりとりを手話通訳を介して行われます。

そして、このテーマが比較的よく知られており、内容も(裁判にしては)さほど難しくなく、翻訳の方法などを考えるのに良い教材になると思ったからです。実際にこれを模擬でするかしないかはともかく、やりとりのなかで通訳はどのようにすれば良いかを考えさせられました。

非常に長いので、3回に分けてアップします。元ネタは産経新聞の「法廷ライブ」です。今回は純粋な発言(被告の発言はもちろんのことながら通訳を通しています)のみを並べているので、記者が感じた雰囲気なども含めて(これは日本の考え方よりになるかとは思いますが)記事全文をご覧になりたい方は、リンク元をご覧くださいませ。

まずは冒頭から弁護人の質問。
------------------------------------------
 裁判長「それでは開廷します」
 裁判長「それでは被告、前へ出て。これから被告人質問があります。まず弁護人が質問します」
 裁判長「本法廷での中心争点は、傷害罪が成立するかという点です。この目的と関係のない特定の団体の主義主張をする場ではありません。関係のないことを述べたりする場合は、質問を制限します」
 弁護人「それでは質問をしていきます。あなたはいつから自然保護に関心がありましたか」
 被告「20年近く前からです」
 弁護人「自然保護活動にかかわるようになったのは?」
 被告「6年前にバイオ燃料の啓蒙(けいもう)活動をするようになってからです。ボートに乗って世界一周をし、190都市を回りました」
 弁護人「活動はどんなものでしたか」
 被告「単なる自然保護活動です」
 弁護人「シー・シェパード(SS)の活動に参加するようになったのは?」
 被告「2009年7月からです」
 弁護人「それまでは一人で活動していたのですか」
 被告「イエス(はい)」
 弁護人「なぜSSの活動に参加するようになったのですか」
 被告「ニュージーランドやオーストラリアでは、捕鯨に対する反対意識が高まっており、過熱してきていました。私も何かすべきと考えました」
 弁護人「初公判で職業は『船長だ』とお答えになっていますが、SSから給与が支給されていたのですか」
 被告「ノー(いいえ)。ボランティアでした」
 弁護人「(SS抗議船の)アディ・ギル号には、ほかにどんなメンバーがいたのですか」
 被告「海軍出身者が2人、陸軍が2人、警察官が2人、消防士が1人でした」
 弁護人「(事件当日の)2月11日、(SS側の母船)スティーブ・アーウィン号に乗船していましたね。何をするつもりだったのですか」
 被告「スティーブ・アーウィン号から(撮影用の)ヘリコプターを飛ばす予定があり、離着陸時に安全なように(第2)昭南丸を引き離す必要がありました」
 弁護人「なぜ引き離す必要があったのですか」
 被告「以前、昭南丸から放水されたことがありました。ヘリのエンジンは外付けで、水がかかると大きな打撃を受けるからです」
 弁護人「放水を体に受けたことは?」
 被告「ボートに乗っていてたくさんの乗組員がけがをしました。そのうち1人は目にけがをしました」
 弁護人「酪酸の入ったガラスの瓶を積み込んでいましたね?」
 被告「イエス(はい)」
 弁護人「あなたが準備したものですか」
 被告「ノー(いいえ)」
 弁護人「瓶の大きさは?」
 被告「350ミリリットル入りでした」
 弁護人「ランチャーで瓶を発射しましたね。何回発射しましたか」
 被告「正確に覚えていませんが、4、5回でした。1本を除いてすべて海上に落ちました」
 弁護人「瓶を発射しようとしたとき、甲板に人がいたか見えましたか」
 被告「イエス、見えました」
 弁護人「一番下の(1)には何人がいましたか」
 被告「3人がいて、インパルス銃(放水するための機器)を持っていました」
 弁護人「3人とも持っていましたか」
 被告「2人は持っていました」
 弁護人「あなたは、第2昭南丸のどの位置を狙って酪酸を発射したのですか」
 弁護人「そこは、ブリッジの壁のところで、文字が書いてある下のあたりですか」
 被告「イエス(はい)。もう少し左寄りだったかもしれません」
 弁護人「狙った位置は、よく見えていましたか」
 被告「はい」
 弁護人「写真に丸を記した部分が、あなたが狙った場所ですね」
 被告「はい」
 弁護人「どうして、その場所を狙ったのですか」
 被告「船尾の方には乗組員が数人いましたが、彼らはヘルメットをかぶっていませんでした。狙ったところは、人がいたことは間違いないが、隠れていて姿が見えなかったので、そのあたりを狙ったのです」
 弁護人「当たらなかった瓶を含め、すべて同じ位置を狙ったのですか」
 被告「そうです」
 弁護人「あなたは、船に当たった瓶が割れて、破片が人を傷つける危険性があると思わなかったのですか」
 被告「そのようなことは、まず起こらないと思っていました」
 弁護人「どうしてそう思ったのですか」
 被告「クルーが隠れていたから。別の場所にいたクルーもかなり離れていたからです」
 弁護人「瓶が割れた場合、酪酸の飛沫(ひまつ)はどれくらい飛ぶと予想していましたか」
 被告「数メートルです」
 弁護人「瓶が割れたら、酪酸はどのような状態で広がると考えていましたか」
 被告「ほとんど表面に残る程度で、遠くまで届くとは思っていませんでした」
 弁護人「壁に当たってバウンドして、海側に跳ね返ると思ったのですか」
 被告「ほとんどの液体は、当たった表面に残ります。それ以外の液体は床に流れて落ちる。ただ、多少の飛沫は海上まで届いたかもしれません」
 弁護人「酪酸の粘性は、水と同じくらいサラサラなのですか」
 被告「いいえ。水よりも粘度が高いです」
 弁護人「あなたが酪酸を発射したとき、○○さん(ケガを負った第2昭南丸の乗組員、法廷では実名)が立っていたと証言している位置まで、飛沫が届く可能性を考えましたか」
 被告「彼の姿は見えなかったので、そのようなことは思いませんでした」
 弁護人「狙ったという位置から、酪酸の飛沫が(第2昭南丸の乗組員に)届く可能性を、どう判断していましたか」
 被告「そのようなことは、ほとんど考えませんでした。ほんの少量は、はねることがあったかもしれません」
 弁護人「Aさん(第2昭南丸の乗組員、法廷では実名)の位置まで届くと思っていましたか」
 被告「いいえ。まずあり得ないと思います」
 弁護人「酪酸が体に付着した場合、どうなると思っていましたか」
 証人「問題はないと思っていました」
 弁護人「もう少し正確に」
 被告「けがをすることはないと思っていました」
 弁護人「第2昭南丸に使用する前に、ランチャーの性能を実験で試しましたか」
 被告「はい」
 弁護人「そのテストの正確性は?」
 被告「はい。正確性は高かったです」
 弁護人「狙いが外れて、酪酸瓶が人に当たる可能性は考えませんでしたか」
 被告「考えませんでした」
 弁護人「自分が発射した瓶で、乗組員に傷害が発生したと思っていますか」
 被告「そうは思いません」
 弁護人「酪酸瓶を撃つというのは、あなたのアイデアですか」
 被告「違います」
 弁護人「誰のアイデアですか」
 被告「SSのメンバーの人たちです」
 弁護人「なぜSSは、酪酸という物質を選んだのですか」
 被告「非常にくさいにおいを持っているので、まかれると作業が継続できなくなるからです。ただ、無害なので、体に入っても、オーガニックな成分なので、一切害はないと」
 弁護人「人間への危険性は?」
 被告「SS側の見解では、酪酸は人体に安全と考えています」
 弁護人「そういう理由で酪酸を選んだと聞いていると?」
 被告「そうです」
 弁護人「あなたが初めて酪酸という名称を聞いたのはいつですか」
 被告「2009年の初めです」
 弁護人「どういう場面でしたか」
 被告「テレビ番組の『ホエール・ウォーズ』、鯨戦争という名前の番組で見ました。…あと、(先ほど話した)時期を訂正します。2009年の半ばでした」
 弁護人「テレビで酪酸の危険性は説明していましたか」
 被告「はい」
 弁護人「どのように?」
 被告「酪酸の酸性は、オレンジジュースと同程度。無毒性で、生分解性(自然に分解される性質)があると…」
 弁護人「実際に初めて酪酸を見たのはいつですか」
 被告「南極海にいたときです」
 弁護人「具体的には?」
 被告「2010年1月です」
 弁護人「SSに参加してからということですか」
 被告「そうです」
 弁護人「(SSメンバーは)酪酸を別の言葉で表現していましたか」
 被告「『腐ったバター』と表現していました」
 弁護人「どう思っていましたか」
 被告「体に接触しても害はないと思っていました。酪酸は腐ったバターのことだと思っていました」
 弁護人「酪酸が酸性の液体と知っていましたか」
 被告「はい」
 弁護人「人に被害を与える可能性について認識はありましたか」
 被告「問題ないと思っていました」
 弁護人「酪酸の液体が体に触れたことはありましたか」
 被告「はい」
 弁護人「どのように?」
 被告「壊れた瓶を手にしたとき、液体が手にかかりました」
 弁護人「手はすぐに洗いましたか」
 被告「数分後に洗いました。痛みを感じず、緊急性を感じませんでした」
 弁護人「炎症や腫(は)れはありましたか」
 被告「いいえ」
 弁護人「近くにいたメンバーは目の痛み、皮膚の痛みを感じましたか」
 被告「いいえ」
 弁護人「SSが過去に酪酸を使って誰かにけがを負わせたことはありますか」
 被告「いいえ」
 弁護人「第2昭南丸に酪酸が着弾したとき、『ヒャッホー』と叫び声を上げましたか」
 被告「いいえ」
 弁護人「ガッツポーズはしましたか」
 被告「いいえ」
 弁護人「酪酸が人に危害を加えることを考えていたら、第2昭南丸に酪酸を撃っていましたか」
 被告「決してそのようなことはないです」
 弁護人「第2昭南丸には外部からの侵入を防ぐネットがありましたね?」
 被告「はい」
 弁護人「ネットのことは乗船前から知っていましたか」
 被告「はい」
 弁護人「『家族からプレゼントされたナイフでネットを切った』と検察官に証言していましたね?」
 被告「はい」
 弁護人「なぜ家族はナイフをプレゼントしたのですか」
 被告「ナイフはロープやワイヤを切るなど、最も便利な持ち物です。船長としては最適なギフトです」
 弁護人「第2昭南丸のネットを切った後、なぜナイフを捨てなかったのですか」
 被告「家族の贈り物。特別な物だったからです」
 弁護人「ナイフを甲板に隠しましたね?」
 被告「はい」
 弁護人「なぜ隠したのですか」
 傍聴人「ファシスト、テロリスト!」
 裁判長「拘束、拘束」
 弁護人「ナイフをなぜ隠したのですか」
 被告「(ナイフを所持していたら)第2昭南丸の乗組員に威嚇的な行動とみられてしまうからです」
 弁護人「第2昭南丸に乗船した理由は(船長を務めていた抗議船)『アディ・ギル号』が沈没させられたからと聞いていますが?」
 被告「はい」
 弁護人「第2昭南丸と衝突したとき、アディ・ギル号の状態は?」
 被告「止まっていました」
 弁護人「日本の捕鯨船に攻撃を仕掛けましたか」
 被告「いいえ。船(アディ・ギル号)の屋根の上に座り、第2昭南丸が近づいてくるのを見ていました」
 弁護人「どういう風に第2昭南丸は接近してきましたか」
 被告「私は(アディ・ギル号から)20~30メートル離れたところを追い越すと思っていました。ところが、急に右に来て私たちをひきました」
 弁護人「(ひくとは)ぶつかってきたということですか」
 被告「そうです」
 弁護人「その瞬間、何を思いましたか」
 弁護人「キャプテン(船長)として、何が気になりましたか」
 被告「『私の乗組員が死んでしまう』と考えました」
 弁護人「けが人はいましたか」
 被告「5人にあざができて、1人は肋骨(ろっこつ)を折りました」
 弁護人「衝突の一番の原因は何ですか」
 被告「第2南丸が右に来たことが原因です」
 弁護人「回避できましたか」
 被告「いいえ」
 弁護人「アディ・ギル号の現在の所有者は誰ですか」
 被告「アメリカ在住のアディ・ギル(さん)です」
 弁護人「その前はあなたが所有していたのですか」
 被告「はい」
 弁護人「アディ・ギル号はどこかから買ったのですか。それとも開発したのですか」
 被告「私が開発しました。ボートを製造する過程で、私が監督しました」
 弁護人「開発チームをあなたが決め、マネジメントしていたということですか」
 被告「はい」
 弁護人「開発にかかった時間は?」
 被告「構想から3年半くらいです」
 弁護人「費用はどのくらいかかりましたか」
 被告「米ドルで300万ドルくらいです」
 弁護人「どのように資金を調達したのですか」
 被告「家を抵当に入れ、持ち物も売り払いました。また、150万ドルは借金をしました」
 弁護人「その借金は返済し終わっているのですか」
 被告「借金はまだ50万ドルほどあります」
 弁護人「アディ・ギル号は、あなたにとってどんな存在でしたか」
 被告「…私の人生そのものです。6年間…。アディ・ギル号が沈没する様子は、私の心を引き裂きました…」
 弁護人「アディ・ギル号を失い、あなたはどんな損害を受けましたか」
 被告「……。私は…大型船にひかれる夢を毎日見ました。とにかく心が打ち砕かれました」
 弁護人「だから、(第2昭南丸の船長に会おうと思ったのですか」
 被告「私はこのボートを沈めた本人と向き合い、彼の目を直視したかったのです」
 弁護人「第2昭南丸の乗組員に対してはどのように思っていますか」
 被告「第2昭南丸の乗組員へ、個人的な恨みは一切ありません。私が(調査捕鯨が行われていた)南極海へ行ったときは、捕鯨活動におもむいている人間は、悪魔のような邪悪な人間だと思っていました。しかし、一緒に過ごして、彼らは素晴らしい人たちだと知りました」
 被告「彼らは自分の職務を全うしているだけなのです。今も個人的に連絡を取り合っている人もいます。私は日本人に対しても、いかなる悪い感情も持っていません。捕鯨活動に対して、悪い感情を持っているのです。南極海は(ベスーン被告の祖国である)ニュージーランドに近く、私にとっては裏庭のようなところです。そこで行われる捕鯨に憤りを感じているのです」
 被告「今後、私が南極海へ行くことは一切ないと思います」

« 世界禁煙デー | トップページ | 被告人質問の通訳 その2 »

通訳あれこれ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 世界禁煙デー | トップページ | 被告人質問の通訳 その2 »

クリックお願いします


  • にほんブログ村 介護ブログ 手話・点字へ

ウメダス広告

  • 01.おすすめの商品
  • 02.売れ筋の商品
  • 03.ウメダス商品

手話関連ニュース

ウメダスカウンター

  • FC2のカウンターです。
  • ウメダス閲覧中の方
    現在: